大使着任の挨拶
令和3年5月15日

初めてのナイジェリアとの出会い
5月15日にナイジェリア大使として着任した松永一義です。
生まれて初めて外国の方にあったのは5歳の時でした。その方は何とナイジェリアの方でした。その後、世界には異なる人種、言語、文化があることを学び、その違いを楽しみ、更に知りたいと感じたことが私が外交官になった原点です。そして今、ナイジェリアに大使として着任したことを大変嬉しくかつ光栄に思っています。
喫緊の課題は新型コロナウイルスを含む医療・健康分野の協力
ナイジェリアに暮らす邦人の皆様もパンデミックによる制限措置の下で、大きな影響を受け、多くの不自由に直面されていると思います。在留邦人の皆様におかれては、当館から発信する情報も参照し、健康や安全の確保に十分留意願います。
私が取り組むべき第一の課題は、新型コロナウイルスへの対応を含む医療・健康分野の様々な問題の解決に向けたナイジェリア政府と日本政府との協力です。最近も、4月に、国際機関を通じたプロジェクトとして、ボルノ州の酸素供給量の増加及びワクチン保管能力向上を目的とした無償資金協力を発表しました。今後も、医療・健康分野の強化のためのナイジェリアの人々の努力を日本政府は支援していきます。
新しい分野への関係拡大
昨年、日本とナイジェリアは外交関係樹立60周年を迎えました。日本において、60年は人生を一巡する大事な節目であり、新しい生まれ変わりの年を意味します。日本とナイジェリアの関係も新しい分野への拡大が期待できます。
私はITの専門家として外務省に入省しました。そのため、ITを活用した外交活動の強化、技術革新を通じた経済成長や社会問題の解決に関心があります。
新型コロナウイルスには必ず終わりがあり、長いトンネルの先には明るい出口があります。困難な時こそ新たな発想でイノベーションを起こすチャンスです。DX(デジタル・トランスフォーメーション)を成長戦略の柱として推進する日本政府の一員として、最新技術を積極的に取り入れリープフロッグ型発展で飛躍的に成長する可能性を秘めたナイジェリアに注目しています。
改善、安全、安心、信用、信頼を通じた関係構築
日本が得意とするボトムアップによる生産性やサービス向上のアプローチである「改善」がアフリカでも広まりつつあります。「改善」は良質な製品とサービスの提供を可能にし、顧客に「安全」と「安心」を与えます。企業による、顧客思考の長期的、継続的な取り組みは、更に「信用」と「信頼」を生み、企業と顧客の関係は強固なものとなります。国と国との良好な関係も、突き詰めると、個人同士が互いを思いやるボトムアップの良好な関係構築がベースとなっています。
多様な分野における人と人との交流を深め両国の関係拡大・深化の実現
現在、Jリーグで活躍するナイジェリア選手、或いは、両親のいずれかがナイジェリア人の選手は16人います。アフリカの選手の中で最も多く、日本のサッカーファンにとってナイジェリアは非常に身近な存在となっています。
しかしながら、日本とナイジェリアは物理的な距離が離れている上、新型コロナウイルスの影響で渡航制限があるため、個人の自由な往来が困難な状況となっているのは残念なことです。
このような状況下でDXは人と人との結びつきを容易にし心理的距離を狭めます。政府やビジネスだけでなく、スポーツ、文化、医療、教育など様々な分野でバーチャルな交流を促し、相互理解を深めることが出来ます。いずれコロナが収束し渡航が自由になれば、実際に会うことで相互理解が更に深まり、日本とナイジェリアの関係は多様化し深化すると信じています。
大使館のホームページやFacebook等を通して積極的に大使館の活動を発信をしていきます。どうぞ引き続きご覧ください。
駐ナイジェリア共和国日本国大使
松永 一義